「なにがいい?あいちゃん」
「お前は眠いんだろ、帰っていいよ」
「ちょ、健留さん、ひどい」
「あい、じゃ、待っててな」
わざとらしくあいの頭をくしゃっとする。
「扱いが…」
くすくすと笑うあい。
「勇さん、可愛がられてるんですね」
「そう見えてたらいいけど」
「皆さん仲良しですね」
「そうだねぇ、真哉さんも健留さんも気さくだし、なんだかんだ優しいし。」
「ふふ、楽しそう。あ、あたしこれがいーです」
タルトの上にふわふわのメレンゲと、金色のソースが乗っている。
「あ、おっけ。蜂蜜たっぷりだけど、へーき?」
「はい、蜂蜜大好き」
「これね、健留さんが考えたケーキなんだよ」
「そうなんですか?」
「うん。2ヶ月くらい前かな。人気でて、いまは定番ケーキ」
「2ヶ月前…」
あいが、健留のとなりに越してきて、少したった頃だ。
深い意味はないのかもしれないけど、あいの表情からは微笑みがこぼれる。

