相手は、母親。 「あ、ごめん」 「いえ、ぜひ出てください」 そう言われて、電話に出る。 「もしもし?」 『あ。健留?ごめんね朝から。あいちゃんって子、越して来た?』 あいちゃんって、この子。 「ああー、目の前にいるよ」 そう言って、あいちゃんを 見た。 あいちゃんも俺の方を見ていた。 最初からだけど、表情は少ない。 けど心なしか不安げに見えた。