「そうだよね、お前なんか相手にしてやんない的な?」
「そこまで高飛車じゃないぞ俺は」
こいつ、ほんとに掴めない。

「そうだ、お前の番号とアドレス教えて」
「いいけど」
ケータイを取り出して作業する。

「なんかあった時は連絡しろよ」
「なんか?」
「危険な時とか。最近物騒だろー。お前とかすぐ連れ去られそうだもん」
「連れ去られたら連絡できないんですが」
「いんだよそんなことは。風邪引いた時とかもちゃんと連絡しろよ」
「ぷ…」
いきなり笑いだすあい。

「なんだよ?」
「どこかのパパみたい」
くすくす笑って俺を見る。

「や。俺なら兄貴だろ」
「あは。そうかも」
「いーよもう。ここではお前のパパ変わり、兄貴変わりだもん俺」
「やーん安心」
すばらしい程の棒読み。
「全然思ってないだろ?ちゃんと連絡しろよ」
「わかったよ」


なんだか、こいつは、幻みたいな。儚いってか、気づいたらどこかに居なくなってそうな空気をいつも持ってるから心配なんだ。