ソファに軽やかに腰掛け、
首をかしげて微笑んでくる。
「パティシエじゃないよ。ただのカフェ店員」
「健留はスイーツ作りが得意って聞いたもの」
俺はカフェ店員。
ただ、スイーツ作りが得意だから、時々厨房に入ったりする。
昔からなぜか得意だったんだ。
「…はちみつはあそこの棚の中だよ」
あきらめて場所を教える。
「あは。ありがとっ」
そういって立ち上がり、
蜂蜜を取りに行く。
「蜂蜜、何に使うの」
「なんにでも。飲み物にも、
パンにも、ヨーグルトにもっ」にこにこと笑顔をこぼして
教える。
「ふーん。甘いもの好きなの」「大好き」
そういえば。
聞いたことあったな。
母親に。
その時はシカトしたけど。
それどころじゃなかった。