「彼氏に俺と一緒にいるのがバレたら怒られちゃうな」


「えっ?」



細野さんはタバコの煙りを吐き出した後、持っていた携帯灰皿にタバコを押し付けた。



「舞ちゃん、彼氏いるだろ?」



細野さんが私を見る。


私は肯定も否定もしなかった。



「誘ったりしてゴメンな……」



私は首を左右に振った。


ドライブに誘って来たのは細野さんだけど、でもドライブに連れて行って欲しいと頼んだのは私だ。


だから細野さんは悪くない。


てか、細野さんに彼氏がいることを話したことないのに何でわかっちゃったんだろう……。


太一の顔が浮かぶ。


私を罵倒し殴る太一の悪魔のような顔が……。


夏だと言うのにガタガタと体が震え出す。


目から涙がポロポロ流れていく……。