「今日はご馳走様でした」



お店の外。


細野さんにご馳走になってしまった。


私は頭を下げて、お礼を言った。



「いいえ。舞ちゃんが喜んでくれて良かった」



細野さんがニッコリ微笑む。



「また、誘っていい?」


「えっ?」



突然のことで、思わず声が出てしまった。



「ダメ、かな?」



私は俯いたまま首を左右に振った。


ダメなわけない。


細野さんからそう言ってもらえて凄く嬉しい。


静かだった胸の鼓動が再び踊り出す。



「良かった」



細野さんの優しい声が耳に響いた。


でも脳裏には、やっぱり太一の顔が浮かんでいた。