「あっ!ここで少し待ってて?」



彼はそう言って、ビルの隣にあるコンビニに入って行った。


ビルのコンクリートの外壁に背を向けて座り直す。


しばらくして、彼がコンビニから出て来た。


私の前にしゃがみ込む。



「はい、これ」



彼がそう言って差し出したものはペットボトルのミネラルウォーター。



「えっ……でも……」



受け取ってもいいの?


躊躇していた私に彼は、ペットボトルのミネラルウォーターを私の膝の上に置いた。



「あ、あの……」


「それ飲んだら少しは落ち着くと思うから」



ニコッと微笑む彼。



「じゃあね、気をつけて帰るんだよ」



彼はそう言って立ち上がると、駅とは反対方向に歩いて行く。


小さくなっていく彼の背中を私は見つめていた。