急に体の力が抜けて、その場にしゃがみ込んでしまった。
「あり、がとう……。もう、大丈夫です……」
ぎこちない笑顔で、そう彼に言うのが精一杯だった。
「ホントに大丈夫?」
「はい」
「1人で家に帰れる?近くまで送ろうか?」
「えっ?」
私は目を見開いて彼を見た。
助けてもらったからと言っても彼とは初対面だ。
そんな彼に家まで送ってもらっていいのか……。
「あ、ゴメンね。心配だったから、つい……」
そう言って、はにかむ彼が少し可愛いと思った。
「いえ……」
私は少し俯いて、ゆっくり首を左右に振った。