スタジオの外に出た時、建物の脇道の辺りから男性2人の声が聞こえてきた。
喧嘩してるかのような罵声。
「テメェ!殺すぞ!」
「死ねよ!」
そんな罵声が聞こえる。
「やめて!お願いだからやめて……」
女性の叫び声が聞こえる。
男性の罵声、女性の叫び声を聞いた途端、私の体は動かなくなってしまった。
――グワン
視界が歪む。
体がガタガタ震えだす。
息が苦しい……。
目から涙がポロポロ流れる。
その場にしゃがみ込んで胸元を手で押さえる。
「舞ちゃん?大丈夫?」
細野さんもしゃがんで私の顔を覗き込む。
「ゴメン、なさい……。ゴメン、な……さい……」
泣きながら謝る私に、細野さんは優しく微笑む。
「俺は何もしないから……安心して?」
そう言って私の背中を優しく撫でてくれた。
そこで、私の記憶は途切れてしまった――……。