「好きなのあったら持って帰っていいからね」
三橋さんが言った。
「ありがとうございます」
ペコリと頭を下げる私。
細野さんが袋の中を見る。
私も袋の中を見た。
袋の中は全てお菓子。
「こんなにお菓子買ってきてどうすんだよ……」
ポツリと呟く細野さん。
そして私の方を振り向くと、
「どれいる?」
と、聞いてきた。
私は再び袋の中を覗く。
「じゃー…これ……」
チョコレートが大好きな私はポッキーを手に取った。
「それだけでいいの?」
「あ、はい」
「これ全部持って帰っていいよ」
細野さんが微笑む。
「いや……でも……」
全部貰えるのは嬉しい。
お菓子大好きだから。
でも私が全部貰って帰るのは悪いよ。
「好きなのあったら持って帰っていいなんて言いながら多分、舞ちゃんに買ってきたんだと思うからさ」
「私に?」
「俺たち甘党じゃないからさぁ。お菓子はほとんど食わないんだ」
「そうなんですか?」
「うん。だからこれ全部、舞ちゃんにあげる」
細野さんがニカッと少年のような笑顔を見せた。