「ちょっと、健!」
スタジオのドアが開き、入って来たのは美香だった。
「あぁ?」
チッ!
こんな時に来るんじゃねぇよ。
ウゼェ。
「何だよ」
俺の前に立つ美香の顔を見てそう言った。
「何よ、その面倒臭さそうな顔は……せっかく、いい情報を教えてあげようと思ったのに」
いい情報って、どうせロクでもねぇんだろ?
「で、いい情報って何だよ」
「教えて欲しい?」
美香はフフフと笑って俺を見る。
「別に?」
「あっ、そう。舞ちゃんに会ったんだけどなぁ……」
「はぁ?いつ!どこで!」
舞の名前を聞いた時、俺は無意識に立ち上がり、美香の腕を力一杯掴んだ。
「ちょ、落ち着きなさいよ!」
美香に促されて、俺は掴んでいた手を離して、ソファーに座った。
「ほら、うちの近所に新しく産婦人科が出来たでしょ?」
「あぁ」
「その前に立ってたから声をかけたの」
えっ?産婦人科?
まさかな……。