「私も妊娠がわかった時には、なかなか言い出せなくてね。でも言わなきゃって、勇気を出して言ったの。そしたらね、あの人、何て言ったと思う?」
私は首を左右に振った。
「大きな溜め息ついてね、一言“堕ろせ”って言ったの」
「酷い……」
思わず、そう口から出して言ってしまった。
「ホントにね、酷いでしょ?でもね、旦那のことを愛してたから、旦那の言う通りにすることを決めて、堕ろすために病院に1人で行ったの。
でね、初めてエコーでお腹の中にいる子供を見た時、なぜか涙が止まらなくてね……。
まだ人の形にはなってないけど、でも一生懸命、私のお腹で生きてる我が子が愛おしくて……。
堕ろしに行ったのに、先生に生みますって言って、病院を出たの」



