季節は冬になり、12月に入った。
街はイルミネーションが輝き、クリスマスソングを聴くことが多くなった。
健さんのマンションから飛び出した、あの日から健さんから何回も電話もメールもあった。
堀川さんからも電話もメールが何回もあった。
ここにも健さんも堀川さんは何回も足を運んでくれたらしい。
その度に、伯父さんや義伯母さんが「ここにはいない」と言ってくれた。
玄関から聞こえる健さんの声に何度も何度も飛び出して胸に抱きつこうと思った。
一目でいいから会いたいと思った。
街でラクテのポスターを見る度に胸が押し潰されそうになる。
でも私から健さんや堀川さんに電話もメールもすることはなかった。
会うこともなかった。
私は家族に支えられて新しい生活を始めた。