伯父さんと義伯母さんは、健さんには妊娠のことや産むことは伝えないことを話した。


もう健さんにも会わないことも。


仕事も辞めることを決めた。


本当は堀川さんに会って、辞める旨を話すのが常識だと思う。


社会人として自分が非常識なことをしてるとわかってるけど、堀川さんには手紙で辞める旨を伝えることにした。


健さんや堀川さんが訪ねて来ても「いない」と言って欲しいこともお願いした。



「本当に健くんには言わなくていいのか?」


「うん。いいの」



私はそれだけ言って微笑んだ。


本当は泣きたいくらいだった。


健さんのことは今でも好き。


この気持ちは一生、変わらない。


でも健さんに妊娠の事実を告げることが出来ない……。


健さんには健さんの幸せがあり、これからの人生がある。


その幸せを人生を私は壊す権利はない。


健さんは私や子供の一生を背負う義務もない。


健さんの幸せを願うから、健さんのことが大好きだから愛してるから、私は別れる道を選んだ。


生まれて来る子供と2人で歩んでいく人生を選んだ。