マンションに帰って、お昼ご飯を食べて、後片付けも終わった時、携帯が鳴りだした。
キッチンで手を洗い、ダイニングテーブルの上に置いてある携帯を手に取った。
健さんからだ……。
“ドキン”と胸が鳴った。
「もしもし?」
『舞?ちゃんと病院に行ったか?』
「うん。行ったよ」
『どうだった?』
「ただの夏バテだった」
私はそう言って笑った。
『もう大丈夫なのか?』
「うん。薬もらったから大丈夫」
『そっか。ゆっくり休むんだぞ』
「うん。健さんも体に気を付けてね」
『おぅ!明日には帰るから。じゃーな』
「うん」
電話を切って、携帯をダイニングテーブルに置かず、ギュッと握りしめた。
健さんに初めて嘘をついた。