「舞?」
「ん?」
「もうここはいいから……残りのスタッフで何とかするから……」
「やだっ!」
私は健さんの言葉を遮り、そう叫んで頭を左右に振った。
「舞!ワガママ言うなって!もうマンションに帰って寝てろ。なっ?」
私は高校を卒業して、健さんのマンションで同棲を始めた。
もちろん、伯父さんと義伯母さんな了承済み。
私は帰されることを拒否して、頭を左右に降り続けた。
「俺、舞が倒れた時、マジで心配したんだからな。だから俺のお願いを聞いてくれ。なっ?」
健さんは小さい子供に言い聞かせるように優しくそう言うと、私の頭を撫でた。
「スタッフの誰かに頼んで、舞をマンションまで送ってもらうから。明日、病院に行くこと。いいな?」
「うん……」
「明後日には帰るから、それまで我慢な」
「うん……」
「いい子だ」
健さんは私に言い聞かせ、再び頭を優しく撫でると、楽屋を出て行った。