「皆に迷惑かけると思った？」



健さんの問い掛けにコクンと頷く私。



「バカ……」



そう言って、クスッと笑う健さん。



「あのな、舞？」


「ん？」


「言わない方が、皆に迷惑かけてる場合だってあるんだぞ」


「ゴメン、なさい……」



謝ることしか出来ない。


言わない方が迷惑かけてる場合もある。


健さんに言われて気付いた。


体調が悪いと感じた時点で言ってれば良かったのかもしれない。


でも逆に皆に迷惑かけると思って言わなかった。


普通に振る舞っていた。


それで倒れてしまって、余計に心配させて迷惑をかけてしまった。


余計に迷惑をかけた。


そう思うと、涙が出てきた。


溢れた涙は目尻からら流れ落ちていく。



「泣かなくていいから……」



健さんは優しくそう言って、指で涙を拭ってくれた。