「チッ!ファンでもねぇくせに」



彼女たちが去った後、健さんが呟くようにそう言った。



「健、さん?」


「あ?あぁ、ゴメンゴメン」



私が名前を呼ぶと、健さんは私の方を見て、そう言うとクスッと笑った。



「さっきの彼女たち、ファンじゃないの?」



健さんは何で、さっきの彼女たちがファンじゃないってわかるんだろう……。



「あぁ。アレはファンじゃねぇよ。ただのミーハー」


「そうなの?」


「長年、この商売してたらファンかそうじゃないかってことくらいわかるんだよ」


「へぇ!凄いね!」



単純にそう思ったから凄いって言ったけど……。



「別に凄くねぇよ」



健さんはそう言って、私の頭をポンポンとした。



「行くか」


「うん」



健さんの言葉で、私たちはカフェを後にした。