「俺らも帰ろっか?」
「うん」
私たちが席を立とうとした時……。
「あの、ラクテの細野さんですよね?」
2人組の女の子が私たちの座ってた席に来て、そう言った。
私と年齢が変わらないくらいの女の子たち。
「そうだけど?」
「あの、ファンなんです!握手して下さい」
「いいよ」
女の子たちはキャーキャー言いながら健さんと握手していく。
女の子たちは握手をしながら私の方をチラチラ見ていて、明らかに健さんを見る目と私を見る目が違う。
“こいつ誰?”“細野さんの何?”
って、言いたそうな感じの冷たい目。
私は席に座り直し、彼女たちを見ないようにしていた。