「私も元カレが、お店に来るんじゃないかって不安もあるし、井川さんにも会いたくない気持ちもある。でもね……」
「でも?」
健さんがそう聞き返してきた。
「急に辞めるのは難しいかもしれない……。今年いっぱいはシフトが決まってるし……。それに店長に悪いような……良くしてもらってるから……」
「そっか……」
健さんはそう言って、氷が完全に溶けた水を一口飲んだ。
「舞ちゃん?」
「はい」
「バイトの日はいつ?」
「明日と30日の午前中で今年のバイトは終わりです」
「じゃあ、30日までバイトに行って、バイト終わりに、店長にバイトを辞める話できないかな?」
「店長に、ですか?」
「あぁ。何なら俺が一緒に行って話をしてもいい」
「えっ?」
堀川さんが?
それは出来ないよ……。
私は首を左右に振り「大丈夫です」と堀川さんに言った。
でも、今まで良くしてくれた店長に辞めることを言うのは悪いような……。
卒業後も快く「うちで働けばいい」と言ってくれた店長に……。



