「なぁ、舞?」



健さんは私の名前を呼ぶと、アイスコーヒーを一口飲んだ。



「ん?」


「あのさぁ、舞の元カレってことは、舞は過去にヤツのことが好きだったってことで……」



健さんは何が言いたいんだろう……。


私はハンバーガーを口に持って行こうとしていた手を止めた。



「だから、ヤツのことを悪く言うのは、どうかと思うんだけど……」


「うん……」


「最低な男だな……」



健さんが、そう呟いた。


私も健さんの言ったことには同意。



「私も、そう思う……。私なんて、あの人に人間じゃない悪魔だって言っちゃったし……」


「そか……」


「うん……」



太一は最低な男だよ。


人を傷付け、苦しめて、笑ってられるんだから……。


誰が聞いたって太一のことを、いい人だと言う人はいないと思う。