健さんが運転する車は、大型ショッピングモールの駐車場に入り、車が少ない場所に車をとめた。
サイドブレーキを引いた後、健さんは私の方を向いた。
「なぁ、舞?何があった?」
もう1度、同じ質問をされた。
「だから何もないよ?」
「嘘つくなよ」
「嘘じゃないって……」
さっきと似たような会話。
言えない……絶対に言えない……。
「俺に言えねぇこと?」
「だから……」
私は、そこまで言って下に向けていた顔を上げ、健さんの方に向けた。
健さんと目が合う。
いつもの優しい目をした健さんと違う。
少し冷たさを感じる目に、私は思わず目を逸らした。