「…………い?……舞?聞いてる?」
「えっ?あ、えっと、ゴメン。何の話しだっけ?」
夕方。
健さんと食事に行くため、家の近くまで迎えに来てもらった。
健さんの車に乗り、健さんが話しかけてくれるけど、私は上の空。
健さんに肩をポンポンとされて我に返った。
さっき、何を話してたっけ?
思い出そうにも上の空だった私は思い出せずにいた。
さっきから太一のことが頭から離れないでいる。
それから太一に私と健さんの関係をマスコミに売ればいいと言ってしまったことに少し後悔して不安に思ってる自分がいた。
「今日はラジオの収録があるから食事が終わったら、すぐに送って行かなきゃいけないって話し……」
「あ、えっと……そうだったね……」
私はそう言って、作り笑いを浮かべたまま健さんを見た。