「心お兄ちゃん、ラクテ好きなの?」
「あ?うん……って、舞!話しを逸らすな」
私は心お兄ちゃんの言ったことを無視して、CDラックの前に行った。
「舞?だから……」
「ねぇ、ラクテってカッコイイよね!」
心お兄ちゃんの言葉を遮るようにそう言って、CDラックからラクテのCDを1枚出した。
健さん、カッコイイな……。
「あぁ、そうだな」
心お兄ちゃんは観念したのか、そう言ってクスッと笑った。
「このボーカルの人……えっと名前は確か……」
「細野健」
「そうそう!細野さん!カッコイイよね~……」
健さんのこと知ってるって言うか彼氏だけど、あえて知らないフリをしてみた。
「うん。男の俺から見ても確かにカッコイイな。って、そんなこと言ったら彼氏に怒られるぞ?」
「そうだね」
彼氏に怒られるぞって……。
私、この人と付き合ってるんだけどな。
おかしくて笑いが込み上げてきそうなのを必死で堪えた。