「俺がコンビニに行った時、お前、途中で帰ったろ?」
太一の言葉に私はコクンと頷いた。
「あの後、井川に舞のこと気に入った。また話したいから携帯の番号を教えてくれって言ったら、あいつ、頑張れよって言って、すんなり教えてくれたよ。井川って素直って言うかバカって言うか……」
太一がクスッと笑った。
「だから結局、お兄さんに聞き出さなくても良かったってわけだ」
私の番号を勝手に教えた井川さんには腹立つけど、でも1番悪いのは太一だ。
井川さんを騙し、心お兄ちゃんを傷付けて……。
「アンタは人間じゃない!」
私は太一に向かって、そう叫んだ。
「人間の皮を被った悪魔だ!人を騙し、傷付けて平気な顔で笑っていられるなんて……。私はアンタと別れて本当に良かったと思ってる」
私はそう言って、太一に背を向けて走った。
後ろを振り向かないように、全速力で走った。



