「泣くほど辛いのか?俺が傍にいるから、だから大丈夫だよ……」
目の前にいる男は何を勘違いしてるの?
頭でもおかしくなったんじゃないかと思うくらいの勘違いをしている。
ここで逃げても、また同じことになるかもしれない。
だからこの際、ハッキリと言わなきゃ、この人はわからないのかもしれない……。
私は深呼吸をして、涙を堪え太一の目を見た。
「勘違いしないで」
「はっ?」
「私は健さんに騙されてもない。
この涙は、アンタが言ったことの意味で流してるんじゃない!
アンタに健さんのことを悪く言われて悔しくて流してる涙なの!
もう、私はアンタのこなんか好きじゃない!
アンタに体も心も傷付けられてボロボロだった。
そんな私を助けてくれたのは健さんだったの……」
太一に言いたいことを一気に言ってやった。
「何、言って……」
太一は目を見開き私を見てる。
でも、そのあとすぐに顔にニヤリと不敵な笑みを浮かべ、ジーンズのポケットから携帯を取り出した。



