「あいつ、ラクテのボーカルの細野だろ?俺という彼氏がいながら、あんな男と浮気するなんてね」



何言ってるの?


この人の言ってる意味がわからない。


太一は、もう私の彼氏でも何でもない。



「オッサンのくせに女子高生に手を出すなんてね。舞は騙されてるんだよ?」



違う!


騙されてなんかない!


この人は何を言ってるんだろう……。



「否定しないってことは、俺が言ったことは正解?」



太一がクスクス笑う。


違う!違う!違う!


私は必死に首を左右に振る。


健さんのこと、悪く言わないで!


健さんは、アンタが思ってるような男じゃない!


私のことは、いくらでも悪く言えばいいけど、健さんのことは……。


腹が立ち悲しくて悔しくて、私の目から涙がポロポロこぼれ落ちた。