「俺、すっげー緊張してんだけど……」
「私も……」
そう言って、2人で笑い合った。
そこでまた会話が途切れる。
何か話さなきゃと思うんだけど、何を話していいのかわからない。
初めてラブホに行った時より緊張してドキドキしてるかも……。
「せっかくのクリスマスだからケーキでも買えば良かったな」
沈黙を破ったのは健さん。
「そうだね……って、バイト先からケーキ貰って来てたのに、別荘の冷蔵庫に入れっぱなしだ……」
「もう誰かが食ってるかもな」
「そうだね」
「買いに行くっつっても、もう店も開いてねぇかもな」
「そうだね」
って、私、さっきから“そうだね”しか言ってないし……。
「あっ!そうだ!」
健さんはそう言って、ソファーから立ち上がった。
そしてキッチンの方へ行く健さん。
対面式キッチンのリビング側の方のカウンター下の壁にある作り付けの棚から何かを取り出し、またリビングに戻ってきた。



