「とりあえず、車を走らせながら考えるか」
健さんはそう言って、車をゆっくり路肩から出した。
「舞は行きたいとこある?」
「へ?」
話を急に振られ、変な返事をしてしまった。
そんな私を見て、健さんはクスッと笑うと、タバコを1本口にくわえた。
行きたいとこ……。
初めて一緒に過ごすクリスマスの夜。
だから2人きりになれるとこがいいな……。
…………ラブホ?
いやいや、そういう場所じゃなくて……。
うーん……。
…………………………。
……………………。
あっ!
「決まった?」
健さんが私の方をチラッと見る。
「…………健さんのお家に行きたい!」