「お前、いい加減にしろよ?」
健さんは低い静かな声でそう言った。
静かな声が余計に威圧感を感じる。
いつもの健さんじゃないみたい。
「はっ?俺?舞の彼氏だけど?
あのさぁ……お前、しつけぇんだよ。
舞が怖がってんのがわかんねぇの?
女に暴力振るうことしか出来ねぇなんて最低だな。
弱い者に暴力を振るう事で自分を強く見せて、そういう愛情表現しか出来ねぇ、お前みたいなヤツは女と付き合う資格なんてねぇんだよ。
もう2度とかけてくんな!」
健さんが一気に捲し立てる。
電話口の向こうで太一の声が聞こえる。
『この前、スーパーの駐車場でアンタを見た時、どっかで見たことあると思ってたんだけど、アンタってラクテのボーカルだよな?』
太一は健さんがラクテのボーカルだと知ってるんだ……。
でも何でそんなこと聞くの?
「は?それがどうしたんだよ。俺と舞のこと、週刊誌に売り付けようってか?」
健さんがクスッと笑う。
「はぁ?そんな脅しに俺が怖がると思うか?週刊誌に売り付けたかったら勝手に売り付けろよ。じゃあな、2度とかけてくんじゃねぇぞ!わかったな?」
健さんは電話を切って、携帯を私に返してくれた。



