「あ、あの……」
私は顔を上げて相沢さんを見た。
夏休みの間だけバイトしたい理由が言えないなんて、たぶん面接結果は不合格だと思う。
嘘でもいいから何か理由を言えば良かったと後から思っても遅い。
だから自分から断った方がいいのかな……。
「いつから来れる?」
私が断ろうと思ったら、相沢さんから思いもよらない言葉が……。
「えっ?は、はい?」
相沢さんの思いがけない言葉に、私は目を見開いて相沢さんを見た。
「ここで働きたいと思ってくれたんだよね?」
「はい……」
そりゃあ、もう。
「有坂さんの事情は、もうこれ以上聞かない。いくら俺が店長だからって無理矢理聞く権利はないから。本当は長期、来てもらいたいんだけど……夏休みの間だけでいいよ」
相沢さんはニコッと微笑む。
「あ、はい!ありがとうございます」
私は頭をペコッと下げた。
「で、いつから来れる?」
「いつからでも大丈夫です!」
「じゃー……」
相沢さんは壁にかけてあるカレンダーを見た。
「来週の月曜日からでいい?」
「はい!大丈夫です!」
「宜しくね」
「宜しくお願いします!」
私は、さっきよりも深く頭を下げた。



