「この前は、すいませんでした」
レジの中に入り、店長の隣に立った時、小声でそう言った。
「いや、いいよ。もう体調は大丈夫?」
「はい」
「良かった」
店長の満面の笑み。
でも頭に目をやると、クリスマスの赤い三角帽子が目に入り、笑いが込み上げてくる。
「舞ちゃん、今日は12時で上がりだよね?」
「はい」
「それまで俺と一緒だから」
「はい」
最初の頃、店長は私のこと有坂さんと名字で呼んでいたのに、いつの間にか舞ちゃんと名前で呼ぶようになっていた。
てか、そう言えば、井川さんは今日は休みなんだ。
何か、いつも一緒にバイトしてて、いつもいるイメージがあったのにな。
彼女いるって言ってたし、今日はクリスマスイブだから彼女と過ごすために休んだのかも……。



