【完全版】このいっぱいのLove Songをキミに捧ぐ




事務所にいた店長に体調不良で早退させて欲しいと伝えた。


店長は「大丈夫?」と、心配そうに言ってきてくれて、体調が回復するまで休んでいいと言ってくれた。


店長にお礼を言って、更衣室に入る。


ドアを閉めた途端、足の力が抜けて、その場にズルズルとしゃがみ込んだ。


目から溢れ出す涙と震えの止まらない体。


井川さんと太一に繋がりがあったなんて……。


頭の中から消去したい過去が蘇り、体中が恐怖に包まれた。


力が入らない体を無理矢理起こし立ち上がる。


ロッカーの扉を開け、制服をハンガーにかけた。


鞄の中から携帯を取り出して、健さんにメールを打つ。


バイトの時には必ず送り迎えをしてくれる。


それは健さんだったりスタッフだったり。


メールを送信して、すぐ健さんから電話があった。



『舞?どした?』


「健さん……迎えに来て?」


『えっ?今日は17時上がりじゃなかったっけ?』


「うん……でも体調を崩しちゃって……早退させてもらったの……」


『大丈夫か?わかった、今すぐ行くから、いつものとこで待ってて?』


「うん……ゴメンね……」



健さんからの電話を切って、携帯を鞄に入れず、手に持った。


そして鞄も持って、更衣室を出た。