【完全版】このいっぱいのLove Songをキミに捧ぐ




私が裏から出た時、井川さんは肉まんを補充していた。


店内には誰もいない。



「あの、井川さん?さっきの続きだけど……」



肉まんを補充し終わった井川さんに声をかけた。



「ん?」


「私に承諾も無しに、何で勝手なことするんですか?」


「いやね……」



井川さんはそう言いながら肉まんのケースの扉を閉めた。



「そいつ、彼女と別れたらしくて、その彼女を忘れたいために新しい彼女が欲しいって……で、俺に女を紹介しろって言い出して……」


「だからって何で私で、何でその人がここに来るんですか!」


「俺も、有坂さんに聞いてからと思ってたんだよ?でも、そいつが今日暇だから店に行くって言い出して……」



何よ、それ?


意味わかんない……。



「そんなこと言われても、私は会う気もないし、彼氏もいらないから!」


「そんなこと言わずに、嫌なら断ればいいんだし……」



井川さんは顔の前で手を合わせる。


断ればって……断るも何も、会う気はないって言ってんじゃん……。


その時――……。