エレベーターで5階に行った私は、502号室の前に立っていた。
“コンコン――”
ドアに軽くノックをする。
「はい」
中から心お兄ちゃんの声が聞こえてきた。
ドアを開けて中に入る。
「舞!?」
私の顔を見て、驚いたように声を上げる心お兄ちゃん。
「ケガして病院に運ばれたって聞いたから、お見舞いに……」
私はドアを閉めて、心お兄ちゃんの寝ているベッドの傍に行った。
心お兄ちゃんの入院している病室は個室で、ベッドの他にソファーセットや冷蔵庫、テレビ、洗面所とトイレ、小さな畳コーナーまである。
ちょっとしたホテルの部屋のような病室。
「これ、お見舞い」
私は持っていた花を心お兄ちゃんに見せて、ソファーセットのテーブルの上に置いた。
「ありがとう」
心お兄ちゃんはお礼を言いながらも“何でここに舞がいるんだ?”と言わんばかりの顔をして私を見ていた。



