しばらく沈黙が続く……。
私は健さんに背を向けたままで、健さんは私を後ろから抱きしめた格好のまま。
私の耳元で健さんの穏やかな息遣いだけが聞こえてる。
私が言うことを聞かなかったから怒ったのかな……。
「あ、あの……健さん……?」
「ん?」
「私が言うこと聞かなかったから怒ってる?」
「うん」
やっぱり……。
どうしよう……健さんを怒らせちゃった……。
健さんに嫌われたら私……。
「健さん、あの……ゴメン、ね……」
私はそう言って、ゴロンと体を反転させて健さんの方を向いた。
でも健さんの顔は笑顔で……。
「えっ?健さん?」
「嘘」
「はい?」
「怒ってるなんて嘘。舞は何も悪いことしてないだろ?てか、こんなことで怒るわけねぇじゃん」
健さんはそう言ってクスクス笑ってるし……。
「もぉ!私……私……」
本当に健さんに嫌われたと思って……。
私はホッペを膨らました。
でも内心はホッとしてたんだ……。
「舞の怒った顔、可愛い」
健さんはそう囁くように言うと、健さんの唇が私の唇に重なった……。



