私の気持ちも涙も治まり、お義伯母さんと誰もいない長椅子に座った。


外来受付なのか、沢山の長椅子と受付カウンターがあり、非常口の緑の光だけが照らしている暗い空間。



「少しは落ち着いた?」


「うん……」



義伯母さんは強いな……。


自分の息子である心お兄ちゃんが怪我で病院に運ばれたのに、涙ひとつ見せないで私の心配までしてくれて……。



「あの子ね、今日は出張で○○県にいたのよ。で、帰りの駅の階段で転げ落ちたみたい。若い子が急いでるわけでもないのに階段を踏み外すなんてねぇ……。あの子、運動神経、悪かったかしら?高校生の時はバスケ部のレギュラーで瞬発力は良いはずなのに。疲れてたのかしらね」



義伯母さんはクスッと笑いながらそう言った。


心お兄ちゃん、出張だったんだ……。



「そうだったんだね……。でも、たいした怪我じゃなくて安心した」


「念のために入院するだけだから、多分、明後日くらいには退院出来ると思う。今は薬で眠ってるから会えないのよ……せっかく来てくれたんだけどゴメンね……」


「ううん。心お兄ちゃんが無事だった事だけでもわかったから……」



私は義伯母さんに笑顔を見せた。


多分、義伯母さんの話を聞いて安心して私の顔から笑顔が出たんだと思う。


私の笑顔を見て、義伯母さんもホッとした顔をしていた。