「ちょっ、ちょっと、健さん?」
私の呼びかけにも何も答えず、ただ走り続ける健さん。
土曜日の夜、人通りの多い街中を女の手を引っ張りながら走る男。
すれ違う人が振り向いて私たちを見る。
まるでドラマのワンシーンのようだ。
10分ほどでスタジオに着いた。
でも健さんが行ったのはスタジオの中じゃなく、裏にある駐車場。
ジーンズのポケットから車のキーを取り出し、キーのボタンを押して鍵を開ける。
オレンジ色のハザードが2回点滅した。
「舞、車に乗って?」
「えっ?ちょ、待って?どういうこと?」
意味がわかんない。
「病院に行きてぇんだろ?だから早く車に乗れって!」
「えっ?」
「いいから!」
健さんに言われるがまま、車の助手席に乗り、シートベルトを着けた。



