「なぁ、舞の家族に俺をいつ紹介してくれるの?」


「えっ?」



バイトが休みの土曜日の午後。


私は健さんのスタジオにいた。


イスに座って、足を組み、ギターを触っている健さんにそう聞かれ、思わず声が出た。



「えっ?じゃなくて、舞は俺を彼氏として家族に紹介してくれないの?俺、舞の家族にキチンと挨拶したいんだ。何かコソコソって言うか、いけないことしてるみたいでさぁ……」


「そんなことないよ?私も家族に健さんを紹介したいよ。でも、もう少しだけ待って欲しいの……」


「うん、わかった……」


「ゴメンね」


「いや、舞がいいって言ってくれるまで待つよ」



健さんはそう言って私の頭を撫でた。


健さんを伯父さんたちに紹介したいとは思ってる。


でも、太一と別れて、まだ1ヶ月しか経ってない。


それで“新しい彼氏が出来ました”って伯父さんたちに紹介する勇気はない。


健さんは優しくて太一とは全然違うってわかってる。


でも、やっぱり太一のことがあってから伯父さんたちが心配するんじゃないか?それが本当の正直な気持ち。


だけど土日のバイトが休みの日には出掛けることが多くなったから、伯父さんたちは薄々、気付いてるかもしれない……。


私には言わないだけで……。