海に着いた時には辺りは真っ暗闇に包まれていた。


真冬の海と違って、夜の海も昼間の賑やかさと同じように、遠く離れた場所に車を止めても、浜辺で花火やバーベキューしている家族や若者のグループの楽しそうな笑い声が聞こえてくる。


車を止めて、どれくらい時間が経ったのか……私も細野さんも黙ったままで……。


何だろう?


この変な緊張感は……。


エアコンのきいてる車内にいるのに暑くて汗かいてきた。



「やっぱ、あれだな。夏の海は夜でも賑やかだな」



沈黙を破り、細野さんが明るくそう言った。



「そうですね」



私は笑顔でそう答えた。


何か、いつもの細野さんと違うような……。


何て言うんだろう……ワザと明るく振る舞ってるような……。