帰りの車の中で、私は助手席から見える景色を見ていた。


本当に太一と別れて良かったのかな……。


でも太一との付き合いに限界を感じていたのも確かだから別れて良かったんだ。


さっきから、ふたつの思いが頭の中をグルグル駆け巡ってる。



「舞ちゃん?」


「あ、はい」



細野さんに名前を呼ばれて我に返った私。


細野さんの方を向く。


少し左斜めに体を倒して運転している細野さんの横顔がカッコ良くてドキッとした。



「舞ちゃんが別れを決めたことは間違ってないと思うよ?それとも……彼氏と別れたこと後悔してる?」



細野さんはそう言うと私をチラッと見た。


後悔……。


私は太一と別れたことを後悔してるんだろうか……。


私は首を左右に振った。


後悔はしていない。


うん、そうだ。


私は太一と別れたことを後悔していない。


別れて良かったんだ。


ずっと太一と付き合ってても幸せにはなれない……。


私は自分にそう言い聞かせていた。