『はっ?何で?何で別れなきゃなんねぇの?』



太一が鼻で笑う。



『俺は別れねぇよ?』


「ゴメン……太一……私、もう……」


『はぁ?ふざけんなよ!』


「もう疲れたの!太一に気を遣ってビクビクして……気に入らないことがあれば殴られて……」


『…………』



何も言わない太一。



「だから……もう……疲れたの……。これから先、太一と付き合っていく自信がないの……」


『舞?ゴメンな……』



急に優しい口調になる太一。


ズルズルと鼻水を啜る音も聞こえる。



『俺、もう手を挙げないから……約束する……。だから別れるなんて言わないでくれ……。なぁ、舞?お願いだから……。俺、舞のこと愛してるんだ……』


「太一?今まで何回も謝ってきたよね?優しくするって、約束するって、愛してるって、何回も言ってきたよね?でも約束を守れてないよね?もう、限界なんだ……。太一と付き合っていくことに限界を感じてるんだ……」



太一は何も言わず、ズルズルと鼻水を啜りながら泣いていた。



「太一?今まで、ありがとう」


『舞!待って!』


「…………ゴメン」



私は携帯を切って、電源を落とした。


携帯を握り締めて泣く私を細野さんは優しく抱きしめ「よく言った。頑張ったね」と、頭を撫でながらそう言ってくれた。