【完全版】このいっぱいのLove Songをキミに捧ぐ




電源の落ちた携帯をギュッと握りしめた。


太一の誘いを断ったのは初めてだ。


今まで、友達と遊ぶ約束をしてようが用事があろうが、太一が来いと言えば友達の約束や用事を断って太一に会いに行っていた。


それは、もし断ったら何なされるかわからないという恐怖から……。


断る勇気がなかった。


今日、初めて太一の誘いを断った。


私の命は明日で終わりを迎えるかもしれない……。


私の目からポタポタと涙が流れていく。


携帯を握りしめた手に力が入る。



「舞ちゃん?大丈夫?」



細野さんが優しく声をかけてくれた。


私は何も言えず頷くことしかできなかった。