『舞?今どこにいるんだ?いい子だから教えて?』
急に優しい口調になる太一。
「…………○○丘の公園」
『そんなとこ車の運転できない舞じゃ行くの無理だよね?誰かと一緒に行ってんだろ?誰と一緒なの?』
「…………友達」
『へぇ、舞の友達で車を運転できた人がいたんだ~』
「…………うん」
『舞?嘘ついたらどうなるかわかってる?』
「嘘じゃ、ないから……」
細野さんは恋人じゃない。
だったら友達でしょ?
私は嘘は言ってない。
『今すぐ帰って来い!そこから車だったら1時間もあれば帰って来れるだろ?帰ったら俺ん家に来いよ。いいな?』
優しい口調から冷たく低い声になる太一。
「…………ゴメン」
『はぁ?』
「今日は会えないから……」
『ふざけんなよ!俺の言うことが聞けねぇのかよ!』
「…………ゴメン」
『男だろ?男と一緒に……』
太一がそう言ってる途中で携帯を切った。
太一のことだから、また電話をかけてくるかもしれない。
だから私は携帯の電源を落とした。



