涙のタマゴ。

「何なの?これ」

「俺の存在は、お前にしか
 見えない。ていう事は、
 俺達の姿は他の人には、
 見えちゃいけないだろ?」

「…?」
 
「あったま悪いなー。
 んな事も理解できない?」

「ちょっと!」



パチン!と
芸人のツッコミみたいに、

ガブリエルのおでこを
叩いてやった。



1年前、天国へ行った
弟の慶太にやってた様に…



「いたっ!」



今度は、アヒル口を
とがらせて、
む~っとした表情になる。



怒って私を見上げる顔が、

一瞬、慶太に見えて…



懐かしくて

ちょっと切なくて…

でも、嬉しくて笑った。



「笑うなっ」

「はいはい」

「子供扱いすんなっ」

「分かったわよ」


不思議な少年との旅は、

ここから始まった。