「迷っているのか…」 暗い声───。 いつか聞いたような─… 振り向くと、私にワインを渡してきた 宮廷の召し使いだった。 「あなたはっ…!?」 私の顎をそっと持ち上げる。 冷たい手─… 「俺は“死”。そなたは死をのぞんでいる…」 「…のっ…のぞんでなんかいないわ!」 「俺はお前を愛している。さあ─…私と一緒に…」 死の顔が私に近づく。 いや─…