思えば兄とこうやって歩くのはいついらいだろうか


忘れたい過去


忘れてはいけない過去


兄のせいではないのに…あたしを気遣う兄には感謝している


ただそれを言えない自分がもどかしかった


"手ぐらいいっか"


せめてものお礼の代わりに…


「ひーちゃんあっちに行こうか」


指差したのは初めて冬夜に出会った公園の方だった


「いいよ…でもひーちゃんはやめて!」


「冷たいなぁひーちゃんは…」


「はぁー」


しゅんとする兄に溜め息を吐くとあたしは兄の手を引っ張り歩き出した