春樹も同じように向かいのエレベーターを見ていた


時間的には短かったたが女性を抱えて立つ男の顔は見えた


陽菜があれを見て今の状況になっているのだとしたら…


「…男か」


ボソッと呟いた声は陽菜には届いていなかった


「食事は今度にするか?」


「大丈夫よ…行きましょ」


つい先程までの陽菜とは明らかに違っていた


また昔の陽菜に戻ってしまったのか?


瞳の奥に暗い闇が見えたような気がした