「なぁ。」

「何や?謙也。」

「何で、俺のこと嫌うん?」

「そりゃ、自分がヘタレやからや。」

「それ、理由なん?」

「唯、またやっとるん?ずるいわ~謙也ばっかり。」

「いやねぇ。こんなヘタレ誰が相手なんかするかっての。」

何やコイツ、嫌いなんなら相手なんか、すんなっての。相手にするから俺が好きになんねん。お前が、ヘタレっていう度に、本心はちっとは期待してんねん。


ほんまは、俺が好きで、皆と違う呼び方してるんとちゃうんかなって。


「唯帰ろか。」

「うん。謙也置いてくで。」

「待て、待てや白石!唯!」

「5秒だよ!」


いつも、白石が唯を誘い帰ろうとする。でも、唯は何だかんだ言って俺のことを待っていてくれる。


「5!」

俺が、いくらスピードスターっつたって…


「4!」


これだけは、スローや。でも…お前だけは…


「3!」


どれ位時間が掛かったって…


「2!」


勝ち取ったる。


「0!」



「何で1抜かすん!?」

「謙也遅いっ」

「俺のほうが早いんと違うんか?」



「ほら、謙也帰るよ!」

これが…あかんねん。
俺を惚れさせるお前の仕草。