学校へ行かないと母に言った。
予想はしていたけれど、反対された。
「何言ってるの!?ふざけたこと言ってないで早く行きなさい」
「だって……」
「だってじゃないでしょ。明日音、学校ズル休みするの?ダメに決まってるでしょ」
「そんなの、わかってるよ」
「じゃあ学校行きなさい」
「話聞いてよ!!おじさんが亡くなったの。どうしてもお葬式に行きたい」
母はポカンとしていた。
当たり前だ。
おじいさんの話は一度もしたことがなかったのだから。
わたしは全てを話した。
いじめられていたことも、部活に言っていないことも、おじいさんや絵美ちゃんに会ってどれだけ救われたかも、そして、今もいじめられていることも―…。
母は怒っていた。
何より心配していた。
「明日音、大事なことはちゃんといいなさい。心配するでしょ、そんな大事なこと隠してるなんて」
それから、母は泣き崩れてしまった。
わたしがいじめられていることに気づかなかったことをひたすら謝ってきた。
「お母さん、おじさん、わたしのすごく大事な人だから、ちゃんとお葬式に行きたいの」
わたしはもう一度言った。
母はしばらく黙っていたが、顔を上げて頷いた。
「一緒に行きましょう。明日音がお世話になったなら、挨拶しないとね」


